毎日まめご飯。

素人の料理好きによる料理メモ。免責事項:このレシピを参照することでもたらされるいかなる損害にも筆者は責任を負うことはありません。自己責任でご利用ください。

昨年の振り返り

思えばGeorge ジョージさんとの「出会い」が2023年の料理生活においては一番の事件だった。

ステーキの焼き方をきっかけに、彼の紹介した料理をいくつ作っただろうか。ステーキの様々なソースから、フレンチのソースの本も購入することになろうとは、2022年以前であれば想像もしていなかった。

レシピや盛り付けの美しさだけでなく、調理器具や素材を扱うその丁寧さから、フレンチの奥深さの一端を垣間見た気がする。それは自分にとっては衝撃的な体験であったし、それはフレンチに留まらず料理一般に通じるものだったと感じる。事実、ジョージさんのレシピを学んでから、ジョージさんの紹介するレシピ以外に対しても接し方が変わったと思うのだ。例えば鶏もも肉の掃除、肉や魚の脱水処理、玉ねぎやニンニクのみじん切りの精密さ。塩の重要性、熱で旨味を引き出すなどの考え方、また魚醤の意外な活用方法など。また、素材における「水」の意味、調理器具の扱い方、美しいキッチンの使い方なども、自分の料理に対するスタンスに大きな影響を及ぼした。

ジョージさんの料理動画は、調理器具を取り出すところから動画で映してくれているので、その辺りも結果的に非常に参考になってしまうのである。これまではフライパンを重ねて棚にしまうときにはそのまま重ねていたが、ジョージさんの動画を見てからはクッキングペーパーを間に挟んで、表面が直接触れないように格納するようにしている。フッ素加工のフライパンは表面に傷がつくと加速度的に痛みが進んでしまうので、このような丁寧な扱い方によって長持ちするし、傷がない状態で扱えると調理効率も清掃効率も高いまま使い続けることができるのだ。

また、脱水の重要性。肉を焼く際には必ず塩を振ってしばらくおき、水分を拭き取ってから焼き始めている。魚を焼くときには、特に臭みを抜く意味でもこの方法は多くの料理人が実践していると思うのだが、肉を焼くときには必ずしもこの脱水工程は行わないケースが多いと思う。しかしジョージさんは必ずこの工程を欠かさない。これまでは一切考えることもなかった「素材が含む水分の意味」について思いを致すきっかけとなった。直感的には、水分が多い方がジューシーで美味しい、と思いがちだ。「肉汁」という言葉も、水分が豊富な方が美味しいという印象に繋がりやすいと感じる。また、野菜や果物は新鮮で水分が豊富な方が美味しい。

しかし、それは必ずしも一般的に「素材に水分が含まれていた方が調理にとって/食味にとって都合がよい」ことを意味しない。素材に含まれる水分は、どちらかというとネガティブであると今では感じている。料理人は、素材がもともと備えている水分を調理によってうまいこと美味しさにつなげていく必要があるが、水分があると加熱にも時間がかかるし、また旨味は水分によって希釈されてしまうために、水分は少ない方が都合がよいのである。もちろん完全に乾燥してしまうと固くなってしまうのだが、むしろある程度乾燥している方が扱いやすく、美味しく仕上げやすい。干物、ドライフルーツなどはよい例だろう。鶏もも肉の下ごしらえで、塩を振って脱水した上に湿度の低い冷蔵庫に入れてある程度乾かしてから焼いているジョージさんの動画もある。

それを象徴しているのは、フレンチのソースの作り方だろう。エシャロットのみじん切りはスュエし、ワイン、フォンドボーは徹底的に煮詰めて水分を飛ばす。トマト缶はまず缶汁を切り、さらに煮詰めて半分以上の水分を飛ばす。ソースとはエッセンスであり、素材に含まれたエッセンスを可能な限り引き出そうとする過程がソース作りなのである。そのような過程に触れてしまえば、当然他の素材に関しても、同様のスタンスで臨むことになるだろう。

もっとも、知識は多少ついたとは思うのだが、スキルは全然ダメなままなので、こればかりは日々努力する他ない。少なくとも方向性は確実に整えてもらえたと確信している。

よく作った料理としては、ステーキ、ポークソテー、魚のポワレやムニエル、ワンパンパスタ、コンフィ。フレンチドレッシング、ソースボルドレーズ、トマトソース。付け合せとしての野菜のエチュベ。

トマト缶をよく使った。そして、バターの消費が格段に増えた。2022年以前はバターなんてそんなに使わなかった。この保存容器を購入した(配偶者が購入してくれた)のも大きかった。これは非常に便利で、小型のバターナイフも一緒に格納して冷蔵庫に入れていた。使いやすさが増すと自然に使用頻度も上がる。

トマト缶や紙パックのトマトは、amazonでまとめ買いしても全然安くないので、スーパーで買うのがよい*1

それにしても、この一年で食料品の価格が一気に上がった。油、乳製品の値上げ幅が半端なかった。卵も鳥インフルか何かで一気に上がってなかなか下がらなかった(最近ようやく下がってきた…生産者の努力に頭が上がらない)。

ブログの更新数は、開始以来最高になった。ただ、年の前半から忙しかったプライベートに加え、後半は仕事も断然忙しくなったので料理に割く時間は否応なしに下がってしまい、特に後半は日々の料理に新しい工夫を加えることができなくなってきた。初めての食材や、調理方法にチャレンジすることも減ってきてる気がする。そういえば、一昨年は、「発酵」関連が多かった。酸菜、ザワークラウト、キムチ、粕漬など。キムチも、よくもまあ頑張って作ったものだと思う。初めて作ったときには美味しくできたことに驚いたものだ*2

そんな中で、最近の新しい取り組みとしては「醤油肉」、そして豚の脂身からのラード作りだろうか。マリネした肉を外に干す、というプロセスが自分の中では初めてだったが、季節的な要因もあっただろうが案外何も問題なくできたのはよかったし、ちょっと癖になりそう。ラード作りは単に脂身を煮るというただそれだけだが、大量にあった脂身を大した労力もなく無駄にしないで済んだのはよかった。ただ出し殻となった屑肉の活用法はちょっとよくわからない。

*1:車で行けば、多少まとめ買いしても問題なく運べるのがよい

*2:が、韓国から輸入しているキムチ(500gで300円しない安さ!)を後で食べて美味しさにビビったのでそれ以来作る気にならない