毎日まめご飯。

素人の料理好きによる料理メモ。免責事項:このレシピを参照することでもたらされるいかなる損害にも筆者は責任を負うことはありません。自己責任でご利用ください。

肉骨茶

肉骨茶といえば松記鶏飯での出会いが忘れられない。獣臭いようなスパイシーなような、ワイルドな匂いの茶色のスープにスペアリブ*1。そして見たこともない真っ黒の照りのあるタレに、激辛の生唐辛子、そして揚げパンが添えられていた。その肉の柔らかさ、スープの滋味深さは、経験したことのない得も言われぬ美味しさだった。タレと唐辛子の旨味と辛さは、その肉とスープにあまりにも絶妙な取り合わせだった。スープを吸わせた揚げパンも、まるでフレンチのオードブルのように絶品だったのだ。行くたびに繰り返し注文したが、常に期待を裏切ることはなく、これが食べられる幸せを噛み締めた…というと大げさに聞こえるが、このスープの独特なクセが平気な人にとってはそれくらいの感動は与えてくれる店であり、一品である。

先日台湾の肉骨茶の素を頂いた。肉骨茶はシンガポール料理だが、台湾でもポピュラーな料理らしい。まずスペアリブを探した。近くのスーパーにはなかったので、ハナマサに行ってみたらぶつ切りのスペアリブと、「バックリブ」なるものが売られていた。バックリブは6本位の肋骨と肉が切り離されずに繋がっていたので、味が違ったら困ると思って一応調べてみたが、どうやら部位が腹側か背側かの違いに過ぎないらしい。味はむしろバックリブの方がよいというページを見つけたので、それならとバックリブを手に取る。900円程度で十分なボリュームだったのでお得感はある。肉骨茶注文したら900円じゃ済まないからね…笑

肉骨茶の素は余仁生(Eu Yan Sang)というメーカーのもの。スパイスの種類が他社の製品よりもだいぶ多く、13種類ものスパイス(というか漢方?)が使われている。

枸杞の実、党参(トウジン)、当帰(トウキ)、玉竹(ギョクチク)、川芎(センキュウ)、八角スターアニス)、肉桂(シナモン)、サトウキビ、甘草(アニス)、花椒、羅漢果(ラカンカ)、白胡椒、クローブ

(余仁生)肉骨茶 - 余仁生(马来西亚) より)

ただ、乾燥スパイスが出汁パックに入っただけで調味料は一切加えられていないので、味付けは自分でやる必要がある。そこでそれっぽいレシピをネットで探してみた。

そこで参考にしたのがハウス食品のレシピ。水1リットルに対し醤油大さじ1/2、オイスターソース大さじ1、塩小さじ1/8と異常に控えめに使っていたのが好感度が高かったというだけ。最近フレンチで塩や油や調味料はバッサバッサ使うのに慣れていたので、「水1リットルに塩ひとつまみ未満」的なレシピは新鮮でもあった。ちなみに五香粉やクコの実、大根、生姜、玉ねぎ、椎茸は加えなかったのだが、野菜類は入れたほうがいいのかもしれないなと後から思った。松記鶏飯

煮始めると、あー、この匂い!という匂いが立ち上ってくる。

実際、これでそれなりに美味しく作れたと思う。ニンニクは一個丸ごとを一片ごとに分けて、皮は剥かずにそのまま一緒に煮た。2回に分けて3時間以上煮込めば、溶けるとまではいかないが骨からすっと外れる程度には柔らかくなる。

食べる時には松記鶏飯をリスペクトして、老抽と生の赤唐辛子の小口切りをタレとして使う。そう、あの真っ黒なソースは老抽だったのだ。タイ食材店でブラックソイソースを買ってみたときに、これか、とも思ったがちょっと違う気がした。それから何年も経って、中華食材店で老抽に出会ったときに、これだと気づいた。まだ確証というほどの自信はなかったが、食べてみて確信を得られた。揚げパンも忘れてはならない*2。なかなか再現度の高い肉骨茶を作ることができた。

*1:文字通り、肉+骨+茶だった

*2:これはハナマサで「油条」として売られている