毎日まめご飯。

素人の料理好きによる料理メモ。免責事項:このレシピを参照することでもたらされるいかなる損害にも筆者は責任を負うことはありません。自己責任でご利用ください。

ビリヤニの衝撃

初めてビリヤニをテイクアウトしてみたら、想像と少し違った。そして大変美味しかった。自分でも作ってみようとレシピを見てみたらこれまでに見たことのない調理法だった。ということでなかなかの衝撃だったので、メモっておく。

そもそもビリヤニ」とはなにか。

ビリヤニとは、インドやその周辺国で食べられているスパイスとお肉の炊き込みご飯です。…屋台で日常的に食べることもでき、まさに国民食として幅広く愛されています。

ビリヤニとは… - ビリヤニを国民食へ!日本ビリヤニ協会オフィシャルサイト Nippon Biriyani Association

要は「インド風炊き込みご飯」で、日本人に馴染みの料理で言えば「ピラフ」に近い(ビュッフェでもよくあるし、お子様ランチや給食での定番として子供にも人気のメニューだろう)と思っていた。実際ぱっと見はそう違うものでもない。しかし、実際に料理を目の当たりにするとやや印象が変わる。

味覚以外のファーストインプレッション

想像していた香りは「カレー粉のマイナーチェンジ」バージョンだったが、そのファーストノートはカレーとは全然違ったターメリックでもクミンでも玉ねぎでもコンソメでもトマトでもニンニクでもなかった。ハーブのような爽やかなカルダモンの甘い香りと、シナモンやクローブの強い甘い香り、高級な香水のようなローリエの香りがミックスされている。食欲をそそる美味しそうな匂いではないかもしれないが、ともかく素晴らしい香りだ。

米が異様に細長い。バスマティライスというらしく、いわゆる「タイ米」よりもさらに細長い。タイ米は細長いが「米」だった。しかしバスマティライスの形状は、我々の持つ「米」という概念の外側にあるといっていい。もはや日本人は、これを「米」と認識できなくなるのではないか。どちらかというとパスタを1.5cm幅に細かく刻んだもの、という印象に近い。色も特に黄色が強調されているわけでもなく、白飯のような白ではないが色付はしていないと思われる。

具として大きめの肉がゴロゴロ入っている。他の具材のように見えたものは、カルダモン、シナモンスティック、クローブローリエなどのホールスパイス。これらは基本的には食べずに取り除くものと思う。また、梅の種くらいのサイズの何らかの種が入っていた。どうやらアルブハラという乾燥プラムらしい。恐らく調理の間に実が外れて種だけ取り残されたもの。

食べた時の感想

調理された米は全く粘り気がない。スプーンを差し込むと、米はすっとその場を譲ってスプーンを受け入れる。日本の白飯ではこうはいかない。そして米を掬ってスプーンを傾けると、米はさらさらとスプーンからこぼれ落ちる、そんな感じの米である。

予想していたような濃い味ではない。むしろ無味に近い。ビリヤニの塩味は、米と一緒に炊き上げられた下味のついたチキンやマトンの塩味だ。唐辛子の味・香りも感じないので、特に辛すぎるということはない。ただスパイシーな辛さは否応なしにある。

そして、ヨーグルトソースとトマトソースとの相性が抜群*1。これをかけて食べると独特のサラサラ感を伴う食感はなくなるものの、味わいとして元々スパイスと相性抜群であるヨーグルトのマイルドな酸味とトマトソースの強い旨味がビリヤニと一体となり食の完成形に導いているとさえ思える程。

このヨーグルトソースとトマトソースはトルコ料理のレシピなので、実際に現地でこういう食べ方はしていないと思うが、インド料理にはライタやラッシーなどヨーグルトを用いたソースやドリンクが多くあるのでそれ相当のものと一緒に食べられている可能性は高い。ヨーグルトとトマトはカレーの重要な素材だし。

個人的に、スパイス料理の頂点には四川の火鍋がある。香辛料と食材の芸術的な統合といえる世界最高峰のメニューと思っているが、ビリヤニもまた、スパイスの威力を存分にわからせてくれる最高のレシピの一つと思う。

独特なレシピ

今はインターネットがあるからこういった、日本人が普段ご家庭では作ろうとはしないであろうレシピであってもネット上では豊富に用意されている。どんな趣味でもそうだろうが、料理を趣味とするものにとって、インターネットは本当に有り難い*2

そこで調べてみたが、ただの炊き込みご飯とはだいぶ違った。単純化すると、手順は以下のようになる。

  1. 米をスパイス数種類と一緒に茹でる。
  2. 肉をフライパンで調理する。
  3. 1と2を交互に鍋に入れて(米の層で肉の層をサンドする感じ)炊く

なかなか手間がかかっている。普通の炊き込みご飯は、

最初に米を茹でる際にカルダモン、クローブローリエ、シナモンを加え、米に香りをつけている。肉はマリネしたものを焼くパターンと、スパイスの香りを付けた油で火を通すパターンがあるようだ。3の時点で1と2を混ぜ合わせないというのは一つのポイントだと感じる。米自体には1で香り付けはしても、直接の味付けは一切していないのも注目だ。

なお、米に色をつけたい場合にはサフランの色を出した牛乳を3で米の層にかけている。ここでもターメリックは使っておらず、カレーで用いる代表的なスパイス*3は殆ど使われていない。やはりキャラ被りを避けたいということか。

まだ試していないので、早いうちにバスマティライスを買ってきて作ってみたいと思う。

*1:ちなみにヨーグルトソースは、無糖のヨーグルト200gに塩・黒胡椒パウダー・おろしにんにくをそれぞれ小さじ1/2程度加えてよく混ぜるだけで作れる。塩は一見多く感じるがこれより入れてもいいくらい。トマトソースは、トマトペースト大2、水200ml、クミンパウダー・一味唐辛子をそれぞれ小さじ1/4、バター20gを鍋に入れ、混ぜながら熱する。表面に照りが出てきたら出来上がり

*2:もちろん僕が大学に入った25年前には、このようにネットは充実しておらず、レシピなんてそんなにはなかった。隔世の感がある

*3:ターメリック、クミン、コリアンダー