料理という行為は食器の片付けを必ず伴う行為であるから、食器の片付けを苦にする人は当然料理からも遠ざかることになる。
わかりやすい例でいえば、お菓子作りなど。バターやチョコレートなどの融点が低い油を大量に含む食材を扱うお菓子は、とにかく片付けがしんどい。チョコレートの汚れはスポンジと洗剤だけでは太刀打ちできない。なんらか別のブラシ等が必要になる。ブラシそのものが溶けたチョコレートで汚染されるのも困りものだ。子供にはそもそもできないし、成人になってもなおこれはキツいものがある。そんな人が、スイーツを作り続けられるかといえばだいたい想像はつくだろう。料理慣れしてる人は、このような汚れにも柔軟に対応できるので、大してダメージを受けることもなくさくっと片付けて次の作業にとりかかることができる。
世のお菓子作りの本やら動画が、片付けについてスルーすることが多いのは当然といえばそうだが、ちょっとフェアじゃないなと思う。もし僕が本を書くなら、いの一番に*1片付けについて記載するんじゃないかと思う。
同様に、以前も書いたように「食材の保存スキル」も当然ながら料理に関連する。「余った野菜や余った魚・肉類を次回の料理まで適切に保存できるか」は料理の出来に(食器の片付けスキルよりもダイレクトに、かつ大きく)影響する。食材の味が落ちると料理の味が落ちるからである*2。
なので、料理人の見習いが最初は調理器具と食器洗いだけしかやらせてもらえないような話を、一概に非合理な精神論と切り捨てることもできないと思う。